1 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)13:41:00 ID:Iqd

砂漠でラクダに乗って野宿旅!
今回はとびっきり綺麗な景色や空撮があるよ!

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6 :名無しさん@おーぷん 20/06/27(土)14:32:29 ID:JbK

昨日動画見てた
なんかアフリカで有名人になったのか?





7 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)15:06:06 ID:1Hx

>>6
そうそう、日本より有名とかいうなぞ展開…

やっぱりアラブの人たちの民族性もありつつ、現地語話せるようにしたのが大きかったのかなぁ
今まではフランス語とかロシア語とか、学習しやすい植民地支配側の言語使ってたし





4 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)13:55:02 ID:9X6

2020年元旦の朝、ファラハの家で朝食をいただいてから、遂に出発
今日の目的地は州都ケビリだ

出発前ラクダのところへ行くと、鼻につけていたカラビナ的なパーツが壊れてしまっていたのに気づいた
その後すぐに新しいものに交換したものの、朝食中に1時間ほど目を離していたらまた壊れてしまっていた
ハビーブが元々つけていたものも半ば壊れていたから、どうやらシャムスはカラビナをぶち壊すスキルを持っているらしい
手持ちのカラビナ風金具の中で、一番大きくて頑丈なものに交換
鼻に紐をつけている間は目を離さない方が良さそうだ

朝から金具と格闘していたせいかラクダは少しイライラしているようだったけど、ひとまず出発
…するもその後、ラクダはイライラを爆発させることになる

ファラハと別れたその瞬間、なんとラクダはおれを乗せたまま踵を返し逆方向へと走り出した!

上下に大きく揺られながら必死に手綱を引くも、中々止まってくれない
しばらくすると速度を緩めてくれたので上から飛び降り、手綱を引くことでようやく進みたい方向へ進むことができた
こういった時はイライラを発散させてやるのが良いので、一緒に早歩きをしつつ、安全そうな場所では時々走り、乾燥地帯を楽しんだ

その後は特にイライラした様子も無く落ち着いたようで、乗った状態でのんびりとケビリを目指すことができた

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8 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)15:07:18 ID:1Hx

ちなみにラクダの名前は「シャムス」とした
アラビア語で太陽という意味だ
太陽と同じく、非常に強い力を持っているが砂漠では敵にも味方にもなり得る(砂漠の真っただ中で逃げられると渇死する)、今回の冒険の要となる存在だったのがその由来だ

よろくしな、シャムス!!

途中村を通り過ぎたけど、その際は車との接触などのリスクを考えてシャムスから降りて一緒に歩くことにした
その他道が悪くシャムスに負担が掛かりそうな時も降りて一緒に歩いたほうが良いだろう

夕方、ケビリに到着
町中では、町の入り口にいた警察の方が誘導して下さり、無事にシャムスは町の家畜を飼っている施設へ行くことが出来た
一晩だけここで預かって貰えるらしい
そして、おれは宿で夜を明かすことになった

かなり疲れたけど、ひとまずなんとかなってよかった

【リアルRPG 砂漠編21】冒険に出発!…したらラクダがおれを乗せたまま逆向きに全力疾走! 果たして28km先の目的の街にたどり着けるのか…?
https://youtu.be/q64frw9Ts64





9 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)16:08:14 ID:wzd

翌日
今日は朝からケビリの中心街を抜けるのに神経使いっぱなしでかなり苦労した
更に、シャムスは体力が有り余っているようで、常に強く静止していないと走り出すという有様だった

出発前、早く動き回りたくてソワソワしてるシャムスちゃん
↓gifアニメ





10 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)16:09:10 ID:wzd

ちなみに、今日通過する予定の町では過去に日本人が強盗に遭いナイフで両手を切られた上に貴重品を盗まれてしまったらしい
そういった危険な道はできれば避けたかったけど、もう一つの道の先では2週間前に観光客に対し銃乱射があったらしいから、消去法でナイフの道を通ることにした

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その問題の町へ到着し、車通りの多い中心地を進む
大きめの町のようで、かなり多くの車や人がいて朝同様かなり神経を使わないと進めなかった
戦車風の大きな銃口の付いた装甲車を何度か見かけたから、どうやら危険というのは本当らしい

慎重に進み、何とか無事に何事もなく町を通過

その後は小さな村にある青少年向けの施設で夜を明かすことになった
ユースホテルとは違い、若者が会議したり音楽活動をしたりするのに使う施設らしい
施設長のハッセンという黒人の方に乗駝具の修理などを手伝ってもらったりして世話になりつつ就寝

ちなみにシャムスは施設の周りに生えているたくさんの雑草と、手持ちの穀物、さらにデザートにみかんを食べたから明日も大丈夫そうだ

【リアルRPG 砂漠編22】動物冒険の難関! それは治安が悪い場所と〇が多い場所!
https://youtu.be/_HLVnmb8Ghs





11 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)21:02:58 ID:wzd

朝になり、青年の家から出発

次の目的地、トズールという砂漠の町に着くのは明日になるだろうけど、それまでは村などが無いから今日はずっと砂漠を進むことになるはずだ
ジェリド湖という湖?を縦断することになるらしい

出発してすぐに、通りがかった警察のパトカーから差し入れのサンドイッチをもらった
この辺りの警察とはもう顔見知りになっていて、シャムスの名前を覚えて呼んでくれる警官もいるほどだった

シャムスは元気一杯で、夕方までずっとペースを落とさずに歩いてくれた

シャムスに揺られながら進んでいると次第に植物が減ってきて、辺りに水たまりがちらほら見られるようになった

砂砂漠ながらも砂丘などの盛り上がりがなく、神秘的な空間だった

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すごく、感情を揺さぶられて、感動した

まだ砂漠の冒険は始まったばかりだったけど、これをする為に今まで生きてきたんだな、といともあっさりと感じることができた
それほどに凄まじい世界だった
土壌の塩分が多く、植物含む「生命」を拒むかのような乾いた塩湖、ジェリド湖は、おれが想像していた砂漠よりもずっと砂漠だった
何年も夢見ていた景色よりもずっと夢のような景色が、おれの目の前に広がっていた

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そんな不思議な空間をシャムスと共にゆっくりと進み、廃墟やちょっとした土産物屋を発見するもスルーして、そして夕方、採塩場に行き当たった

採塩場の詰所の人によると、ここから更に15~20kn進んだところで村や家などはないらしい
そんなわけで、結局その日はその詰所で寝させてもらえることになった

詰所の二人の男は無愛想ながらも悪そうな雰囲気は感じなかったし、何より子猫を詰所内で飼っているようだったから悪人のわけがないと考え信用することにした
焚き火に使う木材をショベルローダーで詰め所の前へ運んで点火し、火が落ち着いてきたら室内に入れて暖を取るという男らしい方式を楽しむことができた

サンドイッチも頂いてお腹も満たされ、満足しつつ床に就く

最後の方は男たちとも少し打ち解けることができて、「またチュニジアに来るときはこの採塩場にも寄れよ」と言ってもらえた

【リアルRPG 砂漠編23】死ぬまでに絶対に見たかった、ラクダの上からの景色
https://youtu.be/NdGz4B9hScA





12 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)21:16:40 ID:wzd

翌日、夢のようなだだっ広いジェリド湖を超えて、遂に砂漠の町、トズールへ

トズールはドゥーズと似ている町で、砂漠の観光で栄えていて、ナツメヤシの木がたくさん生い茂っている町だ
当然ラクダもたくさんいるので、シャムスにとって居心地のいい環境に違いない

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到着したのは夕方だったので、町を通り抜ける頃には辺りは暗くなってしまっていた
目指すは町の観光客向け区間の向こう側、ラクダが飼われている地域だ

そして、夜になり街頭が道路を照らす中、中心部を通り抜け車通りが少なくなった辺りで聞き込みをしたところ、ハメッドという名のラクダ飼いに会うことができた
ハメッドさんは終始笑顔で「俺の家に来い!ラクダも7頭飼ってるから1頭くらい増えても大丈夫だ!」と行ってくれた

かくして長男のズハイル君に連れられ、ハメッドさんの家へ

家では奥さんがもてなして下さり、食事を頂いた上で安全な場所で寝ることが出来た
家には家畜小屋があったのでシャムスも良い観光で寝ることができた

せっかくトズールに来たので明日は休みにして少し町を見て回ることにした

そして翌日は、ハメッドさんの手伝いをすべく、職場へ
ところが、長男のズハイル君と2人でラクダに乗って辿り着いたのは、「進化博物館」と呼べるような施設だった

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どうやらハメッドさんは、この施設目当てで来た観光客にラクダライド体験を提案する仕事をしているらしい

途中でタクシーがこちらへやってきて、女性が降りておれに話しかけてきた

女性
「はじめまして
私はケビリから来たジャーナリストなんだけど、取材しても良い?
チュニジアで一番大きいラジオ局で働いているんだけど、今回あなたを取り上げることにしたの」

そういえば昨日、砂漠を歩いていた時の動画をドゥーズの公式アカウントが投稿して1万再生以上されていたから、多分それで知ったんだろう
それにしても昨日の今日でおれのところまで来るなんて、おれの居場所はどれだけ筒抜けなんだろうか…

おれ
「良いですよ、よろしくお願いします」

ちなみにシャムスはハメッドさんの家でお留守番だったけど、ジャーナリストの方の要望でハメッドさんのラクダに一時的に乗って撮影することになった

【リアルRPG 砂漠編24】トズールに到着! …したらボイスレコーダーやカメラ持ったお姉さんが現れた!
https://youtu.be/MBKZg23fTPI





13 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/27(土)21:17:24 ID:wzd

その後、「せっかくだから博物館見てきたら」と言ってもらえたので博物館へ
人類の進化や動物の歴史、そして古代文明に関することなどかなり多くの展示物があった
お化け屋敷のような造りの場所もあって見ごたえがあり楽しめる施設だった

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その後は町外れにある小さな岩山があるスポットへ
ここも観光地のようで、ハメッドさんの職場だ
ハメッドさんは7頭のラクダを所有していて息子が4人いるので、各観光地でラクダライドの客引きをやっているようだった

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その後は雑貨屋で草を買って(一日分50円くらい)シャムスに与える
明日からまたシャムスとの二人の時間が始まる

次の目的地は都市ガフサだ

【リアルRPG 砂漠編25】トズールの観光地巡り! …警察の人って、身柄拘束する時はやっぱり朝来るんだね
https://youtu.be/m5t-ElosSPs





16 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)13:10:42 ID:6Nc

朝、朝食後に出発しようとするとハメッドさんの家の前で3人の警官が待ち構えていて、署にて本格的な取り調べを受けることになった
どうやら昨日のラジオ局(フォロワー500万人※チュニジアの人口1千万人)の番組によっておれはかなり有名になったらしく、警察も本格的に調べた方が良いと判断したらしい

取り調べ室に入り、豆やコーヒー、パンをもらいつつ質問に応じる
悪いことをしている訳じゃなかったので問題はなかったものの、供述内容を記録する必要があったらしく、3時間ほど拘束されてしまった

取り調べ所

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その後、家へ帰ると「Go!大丈夫だったか?」とハメッドさんやズハイル君が心配そうに出迎えてくれた

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なんだか悪いことをした人みたいだしハグによって謎の感動は生まれたけど、まぁ問題なかったのですぐに準備をしてシャムスと出発

トズールの出口付近まではハメッドさんが誘導してくれたので安全に町を出ることができた

その後、ひたすらに砂漠を進み、夕方頃、道路から少し離れた目立たないところでテントを張り野宿することにした

街頭など何も無い砂漠の真っ只中だったから、星がたくさん煌めいていて本当に綺麗だった
電池残量が少なかったから一眼での撮影はあまりできなかったけど、この素敵な景色はおれの心に刻まれたから、気にならなかった

ジェリド湖といい、この星空といい、これだけ素晴らしい体験ができたなら後はもう何も要らない
明日死んだってもう構わない

心が有るべき場所にストンと収まったような、そんな強烈な安心感に包まれつつ、寝袋にくるまって就寝

【リアルRPG 砂漠編26】警察から開放され、海の方角へ! 荒野で野宿してラクダと一緒に流れ星を探そう!
https://youtu.be/fs3I5Wrdsr8





17 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)13:35:58 ID:6Nc

空が白み始めるころ、起きてテントを撤収して出発

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今日はマトラウィという少し大きめの町へ向かう

日に日に知名度が上がっているらしく、移動中に車が停まって撮影を求められる事が増えた
ひどい時はシャムスの前の車の更に前に車が2、3台停まって、撮影待ちの行列ができるという有様だった
今のところはギリギリ移動速度に支障が出ない範囲ではあるけど、今後更に知名度が上がっていくとヤバイかもしれない

昼休憩中、近くにポツンとある家の主人が昼食を振る舞ってくださった
お金を払うと強く言っても、いいからいいからと払わせてくれなかったのでありがたくいただくことにした

その後、食料品チェーンの運送トラックの運転手の方から、牛乳1L6パックとヨーグルトなどを差し入れとのことで頂いた
トラックの後ろ側を開けて取り出していたからどう考えても商品だ

おれ「え…これ…貰っても良いんですか…?」

運転手「もちろん! 持ってけ!!」

いいんだろうか…

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マトラウィでは、町の入り口にいた警官の紹介でアブラフマンという男の大きな家にお世話になることになった
その豪邸の寝室には長男のサンコーアと友人のサーメルという男が住んでいるようで、カフェに誘われたので夜カフェへ行ったところ、メディアの取材をまた受けることになった

更に、明日はラジオ局から取材の依頼が来ていたので、それもひとまず受けることにした
危険を避けるために目立たないよう行動したかったけど今回の冒険では無理っぽいし、チュニジアの土地で冒険をやらせて貰っている恩義もある
現地の方がおれの活動を楽しんでくれるならそれもアリだろう

マトラウィの郊外には古い鉄道駅があるらしく滅茶苦茶眺めが良いとのことだったから、明日はガフサへ行くのを止めて休みにすることにした
ガフサは都市であり見どころはあまり無いらしいから、マトラウィで一日過ごした後はガフサには一晩だけ滞在することにして先に進むのが良いだろう





18 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)13:36:51 ID:6Nc

さて、次の日、ラジオ局の取材を受けてから、「天国のように綺麗な景色だ」という山の古い鉄道駅へ

道中はどこまでも広がる農地や荒れ地を眺めることができて、中々綺麗な眺めだった

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鉄道駅は現在使用されていないらしかったけど、7kmに渡って山を貫いているというトンネルは中々迫力があり、素敵な雰囲気を持った駅だった

ちなみにどうやらマトラウィはリンの生産で有名らしく、町やその周りの乾燥地帯では時々採掘のための爆発音が聞こえていた

その後は作業などしつつのんひりと過ごし就寝

↓写真は帰りに出会った、肉屋の前に繋がれた牛さん
 こちらでは肉屋や一般人が解体をして肉を調達したりする

 …ごめん、救ってあげられない…

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19 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)13:48:39 ID:6Nc

朝、アブラフマンたちに感謝を告げてガフサへ向かう

出発後、今までよりはるかに多い頻度で車が停まって写真撮影を求められるのに気付いた

どうやら昨日テレビでおれの特集をやっていたらしく、それによって知名度が更に上がってしまったようだった
昼のピーク時などは100~200m進むごとに写真撮影を求められ、何台もの車が撮影待ちの行列を作るという状況にもなり、まともに進めなかった

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まぁ急ぐ旅ではないし欲しいものはもう手に入ったから、のんびり現地の方とのコミュニケーションを大切にしながら進むのが良いだろう

マトラウィからガフサまでは線路が伸びているようだったので、途中からはなんとなく線路沿いに進むことにした
するとその後、貨物列車がおれを追い越した時に、車掌が何度もクラクションを鳴らして先頭車両から手を振っておれに挨拶をしてくれた
列車のクラクションはかなり目立つので少し恥ずかしいけど、好意的に考えてくれているようなので嬉しい

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夕方、日が沈む頃、ようやくガフサの入り口付近に到着
やはり今日だけで何十回も写真撮影をしたから、昨日予想していたほどは進めなかった

この日は牛を飼っている畜産農家の方のご厚意で、牛舎のすぐそばの物置小屋で寝させて貰えることになった
物置小屋とは言ってもベッドがあり、普段はイブラヒムと言う名のご老人が一人で寝ているらしい
もう一つベッドを持ってきて下さり、イブラヒムさんと二人で炭火で暖を取りながら寝ることになった

シャムスは普段の枯れ草とは違う、庭に生えている青々とした草を食べられることになったので大満足に違いない





20 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)13:50:06 ID:6Nc

翌日朝、ガフサの中心地へ進もうとするも、たくさんの人に囲まれ身動きが取れなくなったので諦めて人が少ない田舎道を通って東へ

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町の出口付近で獣医さんが声をかけてくれ、シャムスにイベルメクチンの注射と栄養剤、皮膚の感染予防薬を与えてくれた
ラクダは体が大きく一回の投薬量が多くなるので手持ちのイベルメクチンは一回分しかなかったけど、しばらく期間をおいてから与えることでより高い効果を得ることができるだろう

その後は昨日と同様写真撮影に応じつつゆっくりと進む
どうやらテレビで複数局に取り上げられたらしく、報道されたルートがそれぞれ微妙に違っているようだった
これからは写真撮影を計算に入れ、一日に30km程度(今まではmax45km位進めていた)を目安にすることにしたので、ゆっくり進みつつも夕方目的地につくことができた

赤い実がなったサボテンがたくさん生えている田舎の町、ザノーシュだ

今日は、町の中心で出会ったフェイセルという男の家に世話になることになった
世話になってばかりだけど、今日はたくさんの人が「うちに来なよ!」と誘ってくれたのでむしろフェイセル以外は断らないといけないことになった
今後はこういうパターンが増えるかもしれない

美味しいクスクスやタッブガ(薄い円形のパンの中に玉ねぎやハリーサが入った料理)を頂いた上にシャワーを浴びることもでき、その後就寝

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【リアルRPG 砂漠編27】有名になりすぎて冒険の進行が…!? 乗駝の新スキル習得!!
https://youtu.be/ycslyhqaaSk





21 :名無しさん@おーぷん 20/06/28(日)15:13:06 ID:wGY

メシはあんまりこだわりないのか?
いつもおいしいとかまずいとかあんまり書いてないから





23 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)15:29:31 ID:RGh

>>21
あんまり感情とか感想とか書きすぎるとダラダラ長くなって読みにくいかなぁと思って…

でも基本マズいとは思わないかなぁ、採れたての臭いネズミの肉とか腐った乳製品とか食べて暮らすことも過去にあったし、「マズい」のハードルがだいぶ上がってる
野宿旅だと今周りにあるもので腹を満たすしかないし、硬いパンとぬるい水じゃなく火を通した食事がいただけるってだけで最高





93 :名無しさん@おーぷん 20/07/01(水)12:45:59 ID:hsR

>>23
柔らかいからうまい?
固いものばっかり食ってるの?





94 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/07/01(水)13:21:22 ID:L3j

>>93
パスタって例外もあるけど、簡単に手に入るものは硬いものが多いね
特にサンドイッチとかはけっこう硬いパンで挟まれていて、慣れてないと食べるのにちょっと時間がかかる

日本は全体的にかなり柔らかくて食べやすい物が多いと思う





24 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)15:35:05 ID:RGh

参考画像
こんなこと言ったら食レポにならないけど、どれも普通に旨いよ笑

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29 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)18:26:59 ID:6Nc

今日は朝から小雨だった
海辺の街、マハディアに向かっているからこれからは曇りや雨の日が増えるだろう

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相変わらず次から次へとやってくる人々と写真撮影をしつつ、目的地のマンゼルブセイエムへ

しかし、どうやらその町はテロリストが潜伏している山から近く危険度が高いらしく、夕方頃出会った警官に「滞在はできる限り避けてくれ」と言われてしまった
とはいえこれから日没までに進める距離はせいぜい10km程度だし、マンゼルブセイエムへ行くのがやっとだ
今ここでテントを張ることはできるが、どうやら警官によるとそれはまずいらしく、テントを張るならマンゼルブセイエムを越えて5kmほど進んでからにしてくれとのことだった

どうしようもないながらも警官たちと話していると、写真撮影を求める車が次々と集まってきたので、その中のマンゼルブセイエム出身者の中で力になってくれそうな人はいないか探すことにした

結果、リダというご老人の家に泊まることができることになり、警官に許可を得た上で滞在決定

ただしリダおじいさんの家はマンゼルブセイエムの中でも少し遠い位置にあったので、ジャムスと一緒にジョギング程度の速度で町を目指すことになった
リダおじいさんは保健体育の教師らしく、とても優しい方だったので、道中時々車でようすを見に来ては「あと数キロだ!頑張れ!」と励ましてくれた
体力には自信があるので10kmくらいなら走り続けられる
弾むように走るシャムスと一緒に、シャムスに合わせて速度を増減したり後ろ向きに走ったり(後方の車を確認してシャムスを誘導するには、随時後ろ向きに走る必要がある)クルクルと回りながら速く走っていると、なんというか全力で生きてる感覚を得られて気持ちが良い

夕暮れ頃リダおじいさんの家に到着し、シャムスは空の車庫の中で夜を明かすことになった
到着後はシャワーを浴びてからスパゲッティをいただくことになった
チュニジアではフォークでなくスプーンを使ってスパゲッティを食べるらしい
アフリカのスパゲッティは麺がかなり柔らかいからスプーンの方が食べやすいという理由だろう

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30 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)18:27:56 ID:6Nc

食後はリダおじいさんと一緒にカフェへ

どうやら奥さんがかなりの嫌煙家らしく、ヘビースモーカーのおじいさんはカフェでタバコを吸うしかないようだった

そこで出会ったおじさんたちに何故か頭を撫でられたり、抱きしめられたりしつつ、帰宅

リダおじいさんが「この近くに温泉があるから明日行こう!」と強く誘ってくれたので、次の日は休みにしてゆっくり過ごすことにした
どのみち明日は天気が悪そうだから無理に進まず休んだ方が良いだろう

次の日は、朝からずっと雨が降っていて道路に水たまりができていた

昼食後、温泉へ向かう
ちなみに昼食はチーズのパスタで、まろやかさとクリーミーさがカルボナーラに比較的近くとても美味しかった

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雨でぬかるんだ山道を進み、ちょっとした登山を経て温泉に到着
二人のチュニジア人が既に入っていたのと小雨が降っていたので入りはしなかったけど、木々に囲まれて中々気持ちの良い場所にある温泉だ

その後、夕方になると雨が上がったのでドローン撮影をしたりリダおじいさんの息子たちにラクダライド体験をさせてあげたりして過ごす
夜は家の中でチュニジア語の勉強をしたり、リダの家族皆と話したりして過ごし、就寝

翌日になり改めて出発!
目的地のマハディアにはあと数日で着けるはずだ

途中の村で声をかけてくれた若者の誘いで、少しだけカフェへ行って休憩

たくさんの野犬に吠えられながらも木々に囲まれた道を進み、マクネスという町を越えてはげ山のなだらかな峠道を進む

そして夕暮れ時、道路からは見えず野営できそうな場所へ移動してシャムスを休ませる
経験上、何らかの問題に気付いたり遊牧民の方と出会ったりする可能性があるので、テントを張るのは暗くなってからだ

【リアルRPG 砂漠編28】ご老人と登山してチュニジアの野外温泉へ! 2回目の野宿なるか…?
https://youtu.be/6GnFp4GYoNA





36 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)19:41:09 ID:6Nc

その後、付近を歩き回ってシャムスの食事に付き合っていると、少し離れたところでヤギや羊を何十匹も連れた男が横切るのが見えた
しばらくすると男はこちらに気付き、羊の誘導を中断してこちらへやって来た


「あなたに平安がありますように (こんにちは)

君は…?」

おれ
「あなたに神の慈悲と祝福がありますように (「こんにちは」のかなり丁寧な言い方)

僕は日本人で、ラクダと旅をしています
名前はGoです」


「僕はジャメール
旅って、今日どこで寝るの?」

おれ
「ここにテントを張ろうかと思っているんですが…」

ジャメール
「寒いよ今日は
これから雨も降るだろうし

…うち来る?」

おれ
「本当ですか?
もしジャメールさんさえ問題なければ、ぜひ行きたいです!」

そんなやり取りを経て、岩だらけの峠を越えて道なき道を進み、ジャメールさんの家へ

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道路からは1kmほど離れた所にある隠れた集落だ
周りには家が数件あったけど、今はもうジャメールさんとその家族しかこの集落に残っていないらしい

家にお邪魔したところ、まず細かい草をたくさん入れたお湯で足を洗うように勧められた
薬とのことだったけど、いい匂いがしたので消臭やリラックス効果も期待できそうだ

その後はなんと食事までいただくことができた
しかも搾りたてヤギミルクのクスクスという、こちらの国でもかなり珍しい料理をいただくことができた

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普通に道なりに進んでいたら絶対に見つけられない、隠しステージへ来た気分だ

野営地にしようとした場所がたまたまジャメールさんの通り道に近くて本当に幸運だった





37 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)19:41:38 ID:6Nc

翌日、ルギュブという町を目指す

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朝、後部が半壊している傷だらけ車を見かけたと思っていたら、2時間後にその車がもう一度おれの所へやって来て、高校生くらいの青年とお母さんと思しき女性が出てきた

お母さん
「はじめまして、貴方のことは知ってるわ、チュニジアへようこそ!」

青年
「こんにちわ
日本人だよね!僕は日本が好きなんだ!
今日はどこへ行く予定なの?」

おれ
「今日はこの先にあるルギュブって町に行こうと思ってる」

お母さん
「そうなの!
私たちルギュブに住んでいるから、よかったら今晩はうちに泊まっていかない?」

二人共悪い人でなさそうなので、願ってもない申し出だ

おれ
「もしご迷惑で無いなら、是非行きたいです!」

お母さん
「ぜひいらっしゃい!
ここから家までは息子のユーセフが案内するわ」

おれ
「えっ、まだ町までは17kmもありますよ?
疲れますよきっと…」

ユーセフ
「大丈夫!
Go、行こう!」

かくしてこの日はユーセフという青年と一緒に町を目指すことになった
シャムスの負担を軽くする観点から二人乗りはせず、ユーセフが乗っておれが引いたりその逆をしたり、2人で歩いたりしながら少しずつ町へ近付いていく
ちなみに北アフリカの道路には、1~2kmごとに「〇〇(町名)はあと○km」という内容が書かれた石がおいてあるので、とても分かりやすい

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43 :名無しさん@おーぷん 20/06/28(日)22:40:20 ID:sLd

>>37
ラクダの頭絡?でいいのかな?って
どうなってるの?
毛糸みたいな素材に見えるけど口のところは開かないようになってるのかな
馬だとハミを噛ませて指示するよね





44 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)23:34:17 ID:6Nc

>>43
おぉ、詳しいですね!

そう、馬は歯槽間縁っていう歯が生えない領域が口内の奥にあるから、頭絡に付いてるハミ(金属棒)をそこに入れて指示を出しやすくするけど、ラクダには歯槽間縁が無いから馬用の頭絡が使えない

素材は現地でロープとして広く使われているもので、強く太い紐ならある程度は何でも頭絡にできると思います
野宿旅の序盤では、シャムスには頭絡ともう一つ、口を開けない為のものを別でつけているので、それを外せば馬と同じような見た目の頭絡だけになります(日本の馬の頭絡はもっとしっかりした材質だと思いますが…)
ハミが無いだけで構造は馬のものと同じで、後頭部で留めて顎の辺りから歩いてひく時用の紐がのびています

ラクダの場合はハミがない代わりに鼻に金属のリングが通してあり、乗駝時はそこを引くことで指示を出します
なので乗駝する時は頭絡でなく鼻のリングからのびている紐を手綱として使うんですが、痛そうで可哀想なのでよほど緊急に強い指示が必要な状況で無い限り、強くは引けません笑





49 :名無しさん@おーぷん 20/06/29(月)12:55:42 ID:1jH

>>44
詳しくありがとう!
なるほどラクダと馬は歯の生え方が違うんですね!
鼻輪で制御するのは確かに痛そうに感じてしまいますね

素材は写真だと毛糸っぽく見えたのでなんだろうと思っていました
当初ということは馴れるまで口を開けないようにさせる必要があったということですがそれは噛みつき防止とかでしょうか?
ラクダは気に入らないと相手に向かって嘔吐するというのを聞いたことがありますがそちらかな…





50 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)13:25:32 ID:Kxi

>>49
毛糸ではなく化学繊維のロープで出来ていますね

いえ、噛んだり威嚇したりはしないんですが、道草を探してふらふらするのを防止する為です
車道脇を通るので反対車線の植物に惹かれて道路に出ると危ないですし
ラクダは賢いので、口を開けられない状態にしておけば、「あぁ、今は食事できない時なんだ」ときちんと理解して食べ物を探そうとしなくなります

写真撮影の時にシャムスの口が開いている場合なんかは、女性の方は特に「このラクダ噛まない…?」と俺に訊くことが多かったですが、その度に「大丈夫です、大人しいんで」と頭を撫でて安全を示してまして、
実際シャムスが誰かを噛もうとしたりツバを吐いたりすることは冒険中一度もありませんでした

また、冒険後半ではシャムスとの連携度がより上がって、口に着けるものだけでなくなんなら手綱すら持たずとも道草食わずについてきてくれるようになったので、口のは基本外すようにしました





64 :名無しさん@おーぷん 20/06/29(月)23:00:29 ID:1jH

>>50
もう見てないかもだけどいろいろ答えてくれてありがとうございます!
ラクダって気難しいイメージがあったけどシャムス君はそうでもないんだね
立ち乗りしても問題なく歩いててすごい

次回も楽しみにしてます
また現地の動物写真も見せてくださいね





65 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)23:09:48 ID:HFO

>>64
いえいえ!

確かにラクダは馬よりものんびりしてて乗り手や飼い主のことも軽視しがちだけど、シャムスはめっちゃ良い子!

ありがとうございます!
次回のスレも良ければまた覗きに来てください!





45 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)23:44:55 ID:6Nc

>>43
※参考画像

1tmmZzz





38 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)19:42:04 ID:6Nc

ユーセフ
「日本のアニメが好きなんだ
『僕のヒーローアカデミア』とか…」

おれ
「あぁ、おれも好きだよ、ヒロアカ
面白いよね」

ユーセフ
「ミリオが力をなくした所は悲しかったな」

おれ
「すり抜ける能力だよね」

ユーセフ
「そうそう、でもすごく面白くて好きだな、『プルス、ウルトラァ!』」

その後も時折楽しそうに「さてさてさーてぇ」(七つの大罪の主人公メリオダスの口癖)とか「ダムダムダムダムダァ!」とか「お前はもう、死んでいる!」とかを口ずさむユーセフと一緒に歩いていると、背の高い青年がやって来て声をかけてきた

青年
「こんにちは!
日本人だよね!
ルギュブへ行くの?」

おれ
「はい、そうです!」

青年
「ちょうど俺も行くところだったから一緒に行こうよ!
俺はアカラム。よろしく」

おれ
「え、でもあと7kmくらいありますよ?」

アカラム
「大丈夫!行こう!」

かくして仲間が増え、3人と1頭でルギュブを目指す
どうやら今日はそういう日らしい

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39 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)19:42:59 ID:6Nc

その後はおばちゃんが何人も乗っている車に遭遇して乗っているおばちゃんのうち2人が一時的に同行することになったり、バイクに乗っているサイフという青年がバイクを押しつつ同行することになったりした

ルギュブに到着後、何十人もの子どもたちに出会って大所帯になりつつも、ユーセフの家に到着

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↓※gifアニメ
 車や人にシャムスがぶつかると大変だから、人が多い時は特にしっかり後方確認をしないといけない





39 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/28(日)19:42:59 ID:6Nc

ユーセフの家では、朝出会ったユーセフの母、マダムレイラが笑顔で迎えてくれた
彼女は低い声で威圧感がありつつもよく喋る明るい女性で、生まれたばかり(3ヶ月半)の赤ちゃんをあやしていた

このマダムレイラは何故かおれのことを気に入ってくれたようで、「お願いだから明日もうちにいて」と何故かお願いをしてきてくれた
なんでも近くに良い景色が見れる山があるらしく、明日はユーセフとそこへ行ってはどうかとのことだった

ちょっと迷ったけど、ユーセフとはもう少し話したかったし、彼女の強い押しに負けたのもあり、明日はユーセフの家に滞在することにした
ちなみにユーセフの父は笑顔が多く陽気な男で、明日もうちに泊まっていきなよと行ってくれたので決定だ

クスクスなどの美味しい食事をいただいて、就寝

【リアルRPG 砂漠編29】次の街へ行こうと歩いてたら、パーティメンバーがどんどん増えて… 日本大好きな少年ユーセフ君との出会い
https://youtu.be/x66u6doOMog





51 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)13:27:39 ID:Kxi

ユーセフとその友達、そしてユーセフの母マダムレイラと山へ
マダムはかなり山へ行きたそうだったけど、体力的に大変そうなので車の中で待ってもらうことになった

ユーセフとその友達たちと歩いていると、おれが少し速歩きだったせいか皆少しずつ歩くのが速くなり、最後はダッシュ勝負になった
拳くらいの石がゴロゴロ転がっている道を皆でほぼ全力で走る

ほとんど皆すぐに走るのに疲れて歩き始めたけど、おれともう一人、16歳で陸上部のラエッドだけは数分走り続けた
結局、走っていると後ろの皆が小さくなってきたから中断して、ラエッドと握手をして息を切らしながら石だらけの道をゆっくりと歩く

その後は皆で山の途中まで登って景色を楽しんだ

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ドローンで何度か集合写真を撮ったり景色を撮ったりした

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車の中で待っているはずのマダムレイらが後ろからゆっくり追ってきていて最終的に追いつき、更に帰りでは誰よりも速く石や岩だらけの道をスイスイ進んでいたのが面白かった

ルギュブはそこそこに町だけどマダムレイラは山育ちなので、根本的に足の能力や経験値が違うのかもしれない

夜はユーセフやラエッドと夢について話し合った
おれの夢は実はシャムスと塩湖を通った時にもう叶ってしまっていたけど、他の二人には大きな夢があるようだった
ユーセフは物理学者を目指しているらしく、大学へ進学予定とのことだった
ラエッドは今やっている陸上を頑張って中距離走の選手になりたいらしい
どちらも実現可能なはずだから、ぜひ叶えてほしい

そして、ユーセフは来週から高校が休みに入るらしく、その時おれが滞在している予定のマハディアにぜひ行きたいと言ってくれた

もしまた会うことができたら、ユーセフとはより仲良くなれるに違いない





52 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)13:28:19 ID:Kxi

翌日は、とにかく撮影されることが多い日だった

テレビの取材もあり、車の窓からスマホを出して動画を撮影している人が多かった
小さい方の用を足すタイミングすら難しいほどひっきりなしに撮影が続き、夕方になり目的の町に到着してもそれは続いた

町にさしかかると、たくさんの人に囲まれ写真や握手を求められた
学生など若い人が多い

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子どもたちもたくさんやって来て、「写真撮って!」と言ったり、記念撮影や名前、国籍などの質問を投げかけてきた

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撮影に応じていると移動速度がかなり落ちてしまうけど、距離は冒険の達成条件ではないし、今回の冒険については既に欲しいものが手に入っているから問題ない

ゆっくり進もう





53 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)13:29:16 ID:Kxi

途中、町を出て同じ方向へ歩いている6歳くらいの少年に出会い、こちらに興味津々だったのでラクダに乗せてあげることにした
シャムスの負担を考えて今まで大人二人乗りはしていなかったから、これは初の二人乗りだ

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少年はいつもよりずっと高い位置からの景色を珍しそうに眺め続けていた
しばらくすると分かれ道に来たので、少年はラクダから降りてこちらに手を振り、友達の家へと向かっていった

夜はムハンマドという名の男の家に泊まることに

ムハンマドは大家族で裕福な家庭らしく、夕食ではクスクスと白身魚のサラダ等が出てきてとても豪華だった

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毎日誰かの家にお世話になっていて申し訳なさはあるものの、この日に関しては家の子どもたちがラクダを見て大はしゃぎしていて写真をたくさん撮って楽しんでいたし、まともに使用できない不具合のあるスマホの修理もしたから、役には立ったし良しとしよう
ちなみに修理したスマホとは別に、アクティベーションロック(盗難防止機能。Apple IDを知る元の持ち主でないとロック解除できない)がかかったiPhone 4Sも直せないかと渡されたけど、それは無理だと説明した
どうやら盗品の可能性があるものを偶然入手してしまい、使えないか試行錯誤していたようだ

【リアルRPG 砂漠編30】ユーセフたちとの山登り!優勝は誰だ!? 遂に、有名過ぎて道中トイレすらできない事態に…
https://youtu.be/pX6E0uztC30





57 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)20:49:24 ID:Kxi

次の日は昨日ほど多くは撮影で呼び止められず、順調に歩いていくことができた

途中、時間ができたので気まぐれに立ち乗りの練習をすることにした

しばらく練習するとそこそこ安定して立てるようになっきたけど、傍から見ると曲芸をやっているような感じに見えるらしく、より多くの車が止まって「もっかい立ち上がって!」などのリクエストをされるようになってしまった

↓おれを追い越そうとした車に乗っていた方が撮影
撮影者「何コレ…」
※gifアニメ





57 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)20:49:24 ID:Kxi

途中、修学旅行か何かで18歳前後の男女が何十人も乗っているバスがおれの前で止まり撮影会が始まった
その時も立ち乗りをしていたから、何故か歓声が上がって拍手喝采が起こり脚光を浴びまくるというよく分からない状況になりつつも、雰囲気的にしゃがむにしゃがめずにそのままやり過ごした

日没直前、何とか目的地のマンゼルシャケルに到着

セミという男とそのご家族が暮らす家で寝させて貰えることになった

マルフースンという、ナンを千切ったものを香辛料たっぷりのソースに漬け込みネギを入れた料理がとても美味しかった

翌日は特に大きな出来事は無く穏やかに終わった
ずっとオリーブ畑の中を進み、日没直前に町に到着して安全な寝床を探すという流れだ

夕方、チュニジアに住んでいるインドネシア人のアフマッドさんという方に出会い、仮住まいで寝させてもらえることになった
その仮住まいは町の中心部にあるビルの一部で、道路に面している1階の表部分には壁や電球など一切なくてコンクリの柱があるだけだったので、そのスペースにシャムスを隠すようにつないで寝させてもらうことができた

町ではたくさんの人が声をかけてきてくれたし、写真撮影もそこそこにはしたものの、何となく治安が悪そうな雰囲気を感じたので少し心配だ

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明日到着予定のマハディアはあのやりたい放題で愉快かつイタズラや潜入に長けているハリールが暮らしている町なので、この辺りの治安が悪い可能性は十分にある

今日と明日は今まで以上に注意しないといけないだろう

【リアルRPG 砂漠編31】最強にカッコいい新技習得! 余生の過ごし方を考えよう!
https://youtu.be/RoezPYGDzZA





58 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/29(月)20:50:38 ID:Kxi

今日はマハディアへの到着予定日

今日マハディアに到着するには細い道を通ってショートカットする必要があったけど、これがなかなか大変だった

ここ数日はこの辺りで雨が降っていないにもかかわらず、大きな水たまりが道を塞いでいることが多く全体的に道がぬかるんでいたからだ
車通りはそれなりにあってどの車も慣れたようすで通行していたから、おそらく普段からここは水たまりが多いんだろう

シャムスは他の動物と同じく水たまりを嫌がり、遠くに水たまりが見えると不安そうキョロキョロしたりペースを落としたりするから、今日はできる限りシャムスと一緒に歩いて可能な限り水たまりを避けて通るようにした

しばらく経つと歩きやすい道に出たけど、またしばらくすると水たまりだらけになったりと、安定はしなかった

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途中、3度ほど子どもや若者たちに付きまとわれつつも日が沈んで少し経ってから何とかマハディアに到着
子どもたちに付きまとわれることは今までは無かったから、やはりこの辺りは少し治安が悪いらしい
ちなみに朝サボテンを蹴飛ばして以来足に鋭い痛みが走るなと思いつつ今日は30km以上歩いたけど、マハディアに到着後素足を出して確認してみると棘が7mmくらい脛に刺さっていた

そして、ハリールたちと合流

がっしりとハグをして、再会の喜びを分かち合う

どうやら現在はマハディアのシェッバという町の中心に2kの部屋を借りたらしく、主にハリールと中の良い友達たちで使っているらしい
マハディア(シェッバ)にいる間シャムスは、ハリールの友達のアブドゥルワーヒッドという名のガタイの良い男の家にある家畜用スペースで預かってもらえることになっているようだった
彼は23歳ながら家畜の転売をして稼いでいるらしく、もう何年も動物と触れ合ってきた男だ

シャムスのようすや状況は毎日見に行くにしても、家畜に詳しい男がすぐ近くにいてくれるというのは安心だ

到着して一息ついてから皆で歌いながら夜の町へ繰り出し、ハンマムというサウナへ行こうとするも、ギリギリ閉店してしまっていたようで断念

ハンマムは明日行くことになった

ちなみにハリールとはこれから一週間ほど共同生活を送る予定だ
今日は相当に疲れていたものの、ハリールと今後の観光の予定などを話すのが楽しすぎて夜中4時頃まで二人で話し込み、その後就寝

さあ、愉快なハリールたちとのシェアハウス生活の、始まりだ!

KXSQxaL

【リアルRPG 砂漠編32】遂にマハディアへ! ドゥーズの砂漠祭りで出会った、隠密行動スキル持ちの友達たちと合流!!
https://youtu.be/VDy2VPenQp4

つづく





80 :シリ力■忍【LV9,べホマスライム,H3】 20/06/30(火)17:01:48 ID:cnI

面白い





82 :名無しさん@おーぷん 20/06/30(火)17:33:56 ID:M8i

チュニジアって地中海沿岸で温暖な印象だったけど画像見る限りみんなそこそこ厚着してるな。実際は寒いの?





85 :1◆0sA8GVLJwJ07 20/06/30(火)17:39:37 ID:3jn

>>82
首都のチュニスとか北部はその通りで地中海に面してるんだけど、中部や南部は乾燥地帯で砂漠が多いから、夜は結構冷える
俺の着てる現地民族衣装はけっこう分厚い生地使ってて、風通しも良いからずっと着てられてすごい楽!





128 :名無しさん@おーぷん 20/07/04(土)08:55:29 ID:D0v

川沿いの内陸のアフリカの都市って今あんな都会なのか?
ちょっとびっくりした





1 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:20:51 ID:wue

チュニジアの砂漠での話は4スレ目やね

ラクダ飼いから買ったラクダ乗って、渇いた塩湖越えてオリーブ畑越えて500km以上旅して、現地で知り合ったイタズラ好きの子たちの隠れ家に辿り着いたってところ辺りから、つらつら書き込んでいくやで

(砂漠の話の最初のスレ:https://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1585134753/)





2 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:21:38 ID:wue

とりあえず簡単に自己紹介しとく

名前はGoで、冒険家と名乗っとるで
まぁそうは言うても冒険家に憧れたことはないし別にそこに強いこだわりはないから、変なことしとるアホなおっさんやと思ってくれたら合ってるわ
生まれつきの本能と過去歩んできた人生によって冒険家として生きんのが必然になっとるだけやな

普通に住所不定無職のことが多いしホームレス厭わん程度には貧乏なんやが、過去にはカメルーンの森でピグミー族っていう部族の人らと暮らしたり、ロバと猫と鶏と犬と鳩いっぺんに連れて野宿旅したり、ヨットの船室で暮らしながら海路で日本一周したりしてたで

とりあえず今回チュニジアを旅する為にめっちゃ勉強したから、現地ラジオの生放送になんとか出れる程度にはアラビア語チュニジア方言が話せるやで
昔エジプトでラクダ飼い見習いして働いとったからラクダの扱いもバッチリや

こいつはワイの相棒のラクダ、シャムスちゃんや

g1LEvHL

値段は13万円ぐらいやった

ダイマですまんが、ひっそりと動画もやっとるから、良かったら試しに軽く見てみてくれるとめっちゃ嬉しいで
https://www.youtube.com/RealRPG?sub_confirmation=1





3 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:23:37 ID:e3h

ワイの社会の先生も同じようなことしてたな
帰る金がなくて違法就労してたらしいけど





6 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:29:54 ID:wue

>>3
楽しいで
でも違法就労で帰国費用工面は草





7 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:30:43 ID:6K4

砂漠の旅って、ドラえもんの映画であったなー
くらいしかイメージがない





12 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:35:33 ID:wue

>>7
ドラビアンナイトか
めっちゃ好きやわ
今回の旅のラストでは、あんな感じでラクダと砂丘地帯さまよってみたで





8 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:31:33 ID:ZGa

リアタイ初やわ





9 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:31:33 ID:nyt

ラクダニキ生きとったんかー





12 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:35:33 ID:wue

>>9
なんかまだ生きとるな笑





11 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:33:33 ID:J9k

今はどこの国から書き込んどるんや?





13 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:38:54 ID:J9k

野宿するときはサソリとか注意したりするんか?





17 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:42:16 ID:wue

>>13
現地人と話して決める
現地人がサソリとか恐れてたら食料テントから離したりして対策すべきやけど、チュニジアでは毒サソリの話は皆してなかったから特に気にしてなかったで
どっちかというとやっぱ現地のならず者の方が怖いわ





15 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:40:27 ID:asj

今東京じゃ県外すら行けへんし冒険心が疼くやろ





19 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:50:28 ID:wue

>>15
コロナ禍やししゃーない
これ以上感染拡大したら大変やしな
こんな時は自宅に籠もって在宅の冒険(挑戦)する所存や
より具体的にはめっちゃ勉強しとる





18 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:44:44 ID:cSZ

フタコブラクダ?





19 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:50:28 ID:wue

>>18
アフリカにおるんはヒトコブやで!
インドとかアジアのは寒さにも強めなフタコブラクダ

L3e3ps3





16 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:41:41 ID:bqb

トブルク行った?





19 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:50:28 ID:wue

>>16
トブルクってリビアか
砂漠だらけやから行ってみたいんやけど、ビザが厳しすぎて無理やな
観光ならまだしもラクダ買いたいとか言ったらまず確実に滞在許可おりんやろなあ





20 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:51:26 ID:wue

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ちょっとずつ書いていくわ
(内容自体は猛虎弁やとクドくなり過ぎるから標準語にするやで)

2020年1月20日
さあ、これから数日間は、チュニジアの地中海に隣接した町シェッバで友達たちとシェアハウス生活をすることになる

ちなみにこの家に元々出入りしていたのは5人だった
(毎日寝泊まりしているのは俺とハリールだけ)
以下簡単に紹介する





21 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:51:44 ID:wue

ハリール(写真中央上)は20歳でくせっ毛のベルベル人(アラブ人でなく原住民の方のベルベル人)だ
イタズラ好きで、キラキラした目でいつも楽しそうに踊ったり歌ったりしている
へへへっと嬉しそうに笑うことが多く、「オレって頭いいだろ?」というのが口癖だ
なんとなくジョジョのナランチャっぽい
ワンピースやデスノートなど、日本のアニメが好きらしい
一緒に居るとすごく落ち着く奴だ

フランス語も英語もほとんど話せないものの、オーバーアクションや寸劇仕立てで伝えようとしてくれるので言っていることが分かりやすい
カスリーヌという、テロリストが潜伏していると言われるかなり治安の悪い地域出身で、5人の中ではダントツに貧乏らくし本人はそれを気にしている

「Go、ごめん、オレの実家(シェッバから10kmほど離れた村にある)すっごいちっちゃくて汚いんだ…」

と悲しそうに言うことが多いので、その度に「ハリールに会いにここまで来てるんだからそんなのどうでもいいよ」と返す
4年前から片思いしている女性がいるが、まだ彼氏の有無も聞けていないらしく、相当に奥手というかナイーブな側面もある
実現こそしなかったものの2年前にアルジェリアへ出稼ぎに行こうとしたことがあるらしく、5人の中では唯一パスポートを持っている





22 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:52:02 ID:wue

アブドゥルラフマンは緑のベレー帽を愛用している19歳の青年で、俺が寝泊まりする事になった部屋の所有者でもある
メガネをかけていることが多く、5人の中で一番英語が話せる(とはいえ簡単なことだけだ)ので、皆がアラビア語で早口で話し合った内容をわかりやすく教えてくれたりする基本優しい男だ
必然的に皆をまとめることが多いものの、上手くいかない事があると突然汚い言葉を叫んで激昂したりする一面もある

ウサマ(写真右)は21歳で経済学を勉強していて、冗談や下品なことが好きな長身の男だ
このマハディア(シェッバ)での滞在中は様々なスラングや汚い言葉を知ったが、その多くはウサマから教わった
とても綺麗な家で暮らしているから、5人の中ではかなり裕福な方かもしれない
学校に通っているので昼間は一緒に居ないことが多い

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28 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)21:07:30 ID:wue

アブドゥルワーヒッドは少し太っていてかなり体格の良い23歳の色黒の男だが、正直38歳くらいのおっちゃんに見える
大型動物の転売をしていて、転売時に動物を預かるためのスペースにシャムスを置かせてくれている
英語やフランス語はほとんど話せないようだが、いつもトロンとした目をしていて「真似して」「聞いて」という風にアイコンタクトをしつつ綺麗な声で歌ったり踊ったりすることが多いので、あまり言葉でのコミュニケーションは必要ない
5人の中では一番洞察力があり色々な異常に最初に気付くが、カードゲームのウノのルールは間違えることが多い直感型の男だ
動物のモノマネもうまく、あまり知られていない習性など共感できることばかりだ(他の4人は皆大型動物に疎いので、ラクダや馬の話は基本アブドゥルワーヒッドとだけ話す)

フセン(写真左上)は16歳の童顔の男で、6歳の頃からずっと格闘技(キックボクシングや空手、路上護身術など)をやっていて、飲食店で打楽器を演奏して働いてもいるので話が合う
全体的に年齢に見合わず他の4人を圧倒するほどの能力/経験値の持ち主なので、天才の部類に入りそうだ
5人の中では唯一非童貞(イスラム教徒の婚前交渉は禁忌)で、元彼女と一度だけ過ちを犯したことがあるらしく、下ネタが大好きな青年だ

↓ルームシェア中は毎晩こんな感じでテーブルドラムに合わせて踊ったりトランプばら撒いたりしながらてきとうに過ごす
机めっちゃガタガタなるしPC作業はできんw





30 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)21:08:23 ID:wue

さて、本格的な観光は明日からすることにして、今日はシェッバの海へ
少しだけ漁港に行ってから、カフェの中でクレープを食べてコーヒーを飲む

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チュニジアにはカフェが二種類あって、男だけの社交場となっているカフェとカフェミックスと呼ばれているものがある
今日行ったカフェはシェッバでは唯一のカフェミックスで、おしゃれなふかふかの椅子が並び、カップルの姿もちらほら見られた

その後は皆でハンマム(公衆サウナ)へ
中でパンやみかん、リンゴ等を食べるのは珍しい文化かもしれない

中にはいくつもの台があり、そこで入浴者同士がマッサージをすることができるようになっていた
1回の料金は約171円だ

シャワーブースやお湯が使い放題の蛇口もあり、久しぶりに体を洗うことができた

その後は皆で夜遅くまでアクション映画を見る
なんだか大学時代に戻ったような気分だ





32 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)21:13:05 ID:Dat

>>30
ねこ かわいい





33 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)21:59:51 ID:wue

>>32
チュニジアはめっちゃ愛猫国やで
あちこちに猫おるし、皆ふつうに餌あげたり雨宿りさせて上げたりして共生しとる
確か殺処分もしてないはずや

5zhtxhu





23 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)20:53:43 ID:8mi

まとめでしか見たこと無かったわ
イッチって6年前くらいはVIPにスレ立ててたよな?確か
記憶違いかな?





24 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)20:57:01 ID:wue

>>23
多分あっとるw
初スレが2014年やったかな?
エジプトでラクダと冒険したいってスレやった

もう6年前で草





25 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)21:01:57 ID:6K4

>>24
それでほんまに旅しとるんやから大したもんやな





26 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)21:04:12 ID:wue

>>25
エジプトの時は何一つ上手く行かんかったんやけど、何年もかけてレベ上げしたら普通にいけたな笑





29 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)21:07:44 ID:8mi

>>24
やっぱりそうか!
ワイはVIPからおんJに流れてきたたみやけどニキもそうやったんやな
なんにせよ時間の流れを感じるわ





33 :1◆pFL7w2zodo 20/07/28(火)21:59:51 ID:wue

>>29
2014てスタップ細胞とかの年やし遥か昔よな
社会もネット界も大きく変わったな





27 :名無しさん@おーぷん 20/07/28(火)21:05:40 ID:P46

すげー行動力やな
はたから見たらアホみたいやが絶対いい経験になるわ





38 :1◆pFL7w2zodo 20/07/29(水)01:22:40 ID:sOR

翌日、スファックスという大きな街へ

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メディナ(迷路のような旧市街地)を見て回ったり、ちょっとした買い物をしたりした

夜は、ハリールと二人で何かやろうという話で明け方まで盛り上がった
ピザを持ち帰る為の小型のダンボール箱に、やりたい事を書きなぐる
いつか一緒に自転車でトルコを巡ったり、東京のワンピースタワーへ行こうと約束した

次の日は動物市場へ
動物市場は朝しかないから、早朝6時半頃に起きて急いで準備し、眠そうに目をこするハリールと動物転売をやっているアブドゥルワーヒッドと一緒にモクニンという町へ

ドゥーズの動物市場より大きく、羊やヤギはもちろん、馬や牛も何十頭もいて売り買いがされていた
値段は総じて高めで、一番大きい馬(ただしキルギスで仲間だったセキルよりは小さい)が21万円で売られていて、多くの人が値段を聞いたり購入を検討しているようだった

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39 :1◆pFL7w2zodo 20/07/29(水)01:27:03 ID:sOR

ちなみに小さいラクダも一頭だけいた
その子だけは値段が決まっておらず、競売にかけられるとのことだった

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更に、その動物市場から数分歩いたところには鳥類だけを扱う動物市場や、犬や猫、ハムスターなどを扱っている動物市場もあった
どうやらここモクニンでは動物の売買が盛んらしい

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その後はアブドゥルラフマンも合流してモナスティルという大きな街のメディナ、そして海を見に行った
チュニジアには5大メディナがあるらしく、チュニス、スース、スファックス、モナスティル、そしてカイルアンにそれぞれあるらしい
あと行っていないのはカイルアンだけで、カイルアンには見どころが多いと色々な人が言っているので機会があれば行ってみたい

海にはヨットハーバーがあって色々な国のヨットが寄港しているようだった

ちなみに夜は溜まっていた仕事を済ませようとしたものの、皆がやりたい放題で踊りまくり、机の振動でマウスがまともに使えなかったので断念

(参考動画)
https://youtu.be/XRPWKE7zkCA





40 :1◆pFL7w2zodo 20/07/29(水)20:37:15 ID:sOR

1月23日
朝、フセンから少しだけ路上護身を教わってから、ハリールの町ケダーブナへ

青年の家で卓球を少しだけしてからハリールの実家へ行くことになった
ハリールが以前から言っていた通り、家の門はボロボロに錆びた薄い鉄板があるだけの簡素なもので、玄関や屋内にドアは無く、中の庭や屋内はかなり汚く水道も通っていないようで、トイレは屋外に穴を掘ったものだった
最近は雨漏りが酷いらしい
鶏2羽と、ミモという名の三毛猫が飼われていた

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昔のアルバムを見ているとハリールのお母さんが帰ってきたので挨拶
お母さんは朗らかな女性で、俺にパンと卵料理を振る舞ってくださった

シェッバへ戻ってからは皆でUNOをしたり動画を見たりして過ごし、就寝

1月24日
ハリールとエルジェムというコロッセオのある町へ行こうとしたものの、ルアージュの乗り継ぎが上手く行かず、結局予定を変更してマハディアの観光をすることに
海がきれいな街だ

ハリールと夢について話したり、どんな角度で撮影すると映えるか相談しながら写真を撮ったりしてのんびりと観光をする

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やっぱりハリールと二人でいる時が一番落ち着く
夜、皆が帰ったあともハリールとまったり映画をみたり話したりしつつ、明け方就寝





41 :1◆pFL7w2zodo 20/07/29(水)20:39:11 ID:sOR

翌日、ハリール、フセン、アブドゥルラフマンと一緒に、オリーブ工場を見学したりしつつ森へ
森の奥には海があるので、その近くで焚き火をして遊んでから帰宅

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いつも通り皆でウノをして、その後はまたハリールと二人で夢や漫画について話し合い、明け方就寝

次の日の朝は、フセンとSDS(Street Defense System)の受講をした
この日のテーマは主にナイフからの護身で、日本やアメリカ、中国などで幅広く護身や格闘を学んだ師が直接皆に教えてくださった
基本的にナイフの持ち方によって致命傷となる切りかかり方が変わってくるので、それに合わせて護身をするというもので、皆でペアを組んだりバトルロワイヤル方式にしたりして楽しく護身を学ぶことができた

夜は、森で焚き火をして鶏肉を焼いて食べた

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ここでの生活も、そろそろ終わりだ
もう既に想定していた最長期間よりも長く滞在してしまっているし、まだゴールまでは距離的に半分以上残っているので早く出発しないと時間がなくなってしまう

あさって、出発しよう





42 :1◆pFL7w2zodo 20/07/29(水)20:40:45 ID:sOR

そして、1月27日、ルームシェア生活最終日
ハリール、アブドゥルラフマンと一緒にエルジェムへ

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大きさではローマのものに劣るものの保存状態では勝っているというコロッセオを時間をかけて見学

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夜は最終日ということで皆で円陣を組む
汚い言葉が好きなウサマが号令をかけることになった

ウサマ
「Goとはずっと友達だ!」

「Goとはずっと友達だ!」

ウサマ
「必ず、また会おう!」

「必ず、また会おう!」

ウサマ
「Goを忘れない為にGoの尻毛を毟ってとっておこう!」

「Goを忘れない為にGoの尻毛を毟ってとっておこう!」


「いや何だよそれ!笑」





43 :1◆pFL7w2zodo 20/07/29(水)20:41:02 ID:sOR

こんな調子で、後半は文章に起こせないほど下品な言葉が続き、下品な円陣は終わった
主にウサマのおかげで、チュニジア語のスラングもかなり聞き取れるようになってきた

夜はハリールとハグを交えつつ今後について話し合い、明け方就寝

そして朝、ハリールとウサマ、フセンに町の外れまで見送られ、出発
他の2人は仕事で来られないようだった

さあ、シャムスに乗って南部の砂漠へ!!

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48 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)00:02:35 ID:i38

シェッバを出てからは、10km離れた町へ行く子どもたちと一緒に移動し、そこからはこれまで通り一人で目的地を目指す

この日、夜はムニルという男の倉庫で寝させてもらえることになった
なんだかんだ、シャムスと同じ空間で寝るのは初めてだ

いざ倉庫内の板の上で寝てみると、ずっとシャムスを眺めていられるのはとても幸せだということに気付いた
のんびりと首を上下させたり座ったりするシャムスを眺めつつ、就寝

当時の寝床

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次の日、朝起きてスファックスヘ向かう

夕方、到着
しかし、俺とシャムスの寝床を提供してくださるというムアッズという男が現れたものの、しばらくすると急に不機嫌になり寝床の話が白紙になってしまった
当たり障りのない会話しかしていないつもりだったので理由は分からないが、これは以前羊たちと野宿度していた時にも経験していた事なので起こりうる現象だ

そんな訳で日が沈む頃、スファックス中心付近へ向けて出発し、シャムスの寝床を探すことになった
しかし、スファックスが大都市だからか、これまでの街や村とは人々の態度が明らかに大きく違っていて、ムアッズ以降はシャムスを一晩預かってくれそうな人には全く出会えず辺りは真っ暗になった

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50 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)00:06:35 ID:i38

結局、警察の方が助言してくださったのでそれに従い、警察署の隣にある建設中の建物の敷地内にシャムスを繋がせてもらうことになった
細かい持ち物などについては完全に安全とは言えないが、警察署の周りには何台もの監視カメラがあるので、少なくともシャムスを盗んだりするのは不可能だろう

挨拶の為に少しだけ警察署へ入ると受付横の椅子に猫が座っていた
チュニジアは猫に優しい国だと感じていたが、どうやら警察も例外ではないらしい

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また、警察署の前、少し離れたところで出会った老人が「警官はゴマすりのゴミ野郎ばかりだから気をつけろよ」と小声で言っていた
ウサマから学んだおかげで汚い言葉が聞き取れて理解できるようになったから、ウサマには感謝だ

ちなみにこの日、俺は600円程度の安宿に泊まることになった

次の日の朝、警官が車で宿まで迎えに来てくれたので、助手席足元に無造作に置かれた銃に緊張しつつ、シャムスのところへ行き準備をして出発

スファックスの町を抜けて南へ

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リード引かなくてもついて来てくれるようになった可愛いシャムス





51 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)00:11:27 ID:i38

スファックス中心街ではシャムスと一緒に歩いたり走ったりしていたものの、その後通過した街では車通りが多くてもシャムス乗ったまま安全に通行することができた
とはいえずっと乗りっぱなしではシャムスが疲れてしまうだろうから、できるだけ半々になるよう歩いたり乗ったりを繰り返し、途中のカフェでシャムスの食事も兼ねて休憩したりしながら進む

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最近はシャムスとの信頼度が上がってきていて、手綱を離し自由にさせてもシャムスは俺についてきてくれるようになったから、安全な道ではそうすることにした
人によく懐く犬や猫などを除けば、手綱を離しても付いてきてくれる仲間はシャムスが初めてだ

夕方、目的の町マハルスに到着

マハルスでは市長自ら出迎えて下さり、なんと来訪の記念品としてラクダとラクダ乗りのお皿や帽子、マハルスの美しい写真などをくださった

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これまでも市長や町長が来てくださることは何度かあったけど、こんなに素敵な記念品を頂いたのは初めてなのでとても光栄だ

シャムスも俺も、市長が庶務をしたりする施設の一つで寝させて貰えることになった

さらに夕食に魚のクスクスやサラダまでいただいたので、満腹でぐっすりと眠ることができた


https://youtu.be/OIrXQO082lQ





55 :名無しさん@おーぷん 20/07/30(木)08:34:04 ID:Ps8

>>51
VIP待遇ですね
これは嬉しいだろうなぁ





57 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)10:24:52 ID:wQQ

>>55
宝物やで
特にラクダとラクダ乗りのお皿とか





56 :名無しさん@おーぷん 20/07/30(木)08:46:36 ID:FwO

ええな
何か涙出るわ





58 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)10:29:18 ID:wQQ

>>56
えぇよな
特に砂漠はなんか心揺さぶられるんや





61 :名無しさん@おーぷん 20/07/30(木)11:03:14 ID:RQZ

こういう生活あこがれるわ





62 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)17:09:34 ID:wQQ

>>61
観光旅行とは趣がまた違うし、ハマる人はハマると思うわ





63 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)22:01:47 ID:i38

朝、マハラスの雑草駆除兼シャムスの朝食を済ませてから出発
マハラスにはちょうどサーカスが来ているようでテントがあったけど、ポスターを見るとガベスで見たものと同じようだったのでスルーすることにした

途中、高校の学生や先生たちに校内へ呼び込まれたこと以外は特に何事もない日だった

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夕方、滞在予定の村に到着するも、悪意のある人間があまりにも多いと直感したので村をスルーし寝床を探し歩くことになった
正確には一人だけ「良い人」的な雰囲気を持つ人がいたものの、その人は別の街に住んでいてこれから帰るところだそうで、寝床のヒントになりそうな情報を得ることも出来なかった

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村から少し行ったところで後ろから車で男が追いかけてきたので話を聞く





64 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)22:14:29 ID:i38


「始めまして、俺はタイェブだ
君、ラクダとチュニジア旅してる日本人だろ?
すぐそこ、200mのところの家に住んでるから今晩はうちへおいでよ」


「夜、ラクダは外には繋がない
家の庭とか、安全な場所はある?」

タイェブ
「あぁ、家の塀の内側につないでおけば安全だ」

タイェブについていき、家のすぐそばだというだだっ広い場所へ

タイェブ
「ラクダ腹減ってるだろ?
とりあえずここで餌食べさせよう」


「確かにその方が良いんだけど、一旦荷物を置きたいから家へ行きたい」

タイェブ
「ちょっと待ってくれ、羊の屠殺をやらないといけないんだ」

そんな訳で、タイェブの屠殺を見物しつつ、シャムスは食事休憩をすることになった
キルギスの一般家庭で行われているものとは大きく異なり、刃物を叩きつけて骨を割るようなかなり雑な解体方法ではあったけど、足から空気を入れることで胴体を切り易くするというキルギスには無い技術もあった

しかし、羊の解体後、なぜかタイェブは少し目を離した隙に消えてしまった





65 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)22:15:48 ID:i38

周りにいた人間を問い詰めてその後しばらくすると本人が戻ってきたが、結論から言うと彼は大ウソつきだった
彼の家は15kmも離れたところにあり、現在地からは遠かった
どうやら彼の頭の中では、シャムスは現在食事休憩をしている場所で、俺は男性が10人以上同じ部屋で雑魚寝する仕組みの格安の宿泊所に泊まればいいじゃないかと考えていたらしい

寝床についてウソをつかれたのは初めてだけど、こういったウソはこっちでは結構普通にあることだ
自分のほうが知識が無い分野についても「俺の方が知っている」と無意識に考える人が多いので、「この人はこうした方が良いに違いない」と考えた挙げ句「ウソをついてでも誘導してあげよう、それがこの人の為だ」という考えに至るプロセスのようだ
これは文化的な思考経路の差なので悪気があるとは言えないものだけど、今のこの状況においては正直困る





66 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)22:19:14 ID:i38

治安が悪い村が近くにある状況で、多数の男に囲まれ雑魚寝をする気にはならない
寝られないだろうし、その結果明日移動中に集中力が途切れて事故を起こすリスクも高まる
シャムスも誰かが盗んだりいたずらしたりする可能性は十分にあるので危険だ

仕方ない、移動すべきだ
一日中移動していたので疲れてはいたものの、ここで動かなければより面倒なことになる可能性が高かったので、先へ進むことにした

日はとっくに暮れていたので、暗い中LEDライトで後方からくる車に合図を送りつつ歩くことに
ひとまず10kmほど先にアカリットという小さな村があるので、そこを目指すことにした

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…ものの、アカリットより数キロ手前に小さな集落というかガソリン屋が立ち並んだ場所があり、そこでであったアニースという男のおかげでそのガソリン屋のうちの一つの中で寝させて貰えることになった
携行缶というか強度的に低そうな汚れたポリタンクにガソリンが入ったものがたくさん並んでいて、長距離トラックの運転手などが買っていくようだった

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シャムスは外だけど、この辺りに村は無いし、何よりガソリンが盗まれないよう防犯カメラが設置されているので、シャムスに人的危害が及ぶことはないだろう

【リアルRPG 砂漠編36】過去最大の危機! 絶望… 安全な寝場所が見つからず、夜道を彷徨うことに…
https://youtu.be/p1JNJKHC2TE





67 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)22:25:05 ID:i38

翌日、ついに友達のいる町ガベスヘ

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特に何事もなくガベスに到着したものの、街へ入ると子どもたちが「中国人!中国人!コロナ!」と言いながらずっとついてきて少し面倒だった
「俺は日本人だよ」と言うも全く聞く気が無いようで、男の子も女の子も俺と一定の距離を保ちながら「中国人!」とワアワア言い続けた

中国ではこのごろ新型のウイルスが流行っているらしいから、最近アジア人である俺への風当たりも少し強くなってきた

しばらく進むとムアッドがバイクで俺とシャムスの所まで来てくれた

その後は、ムアッドの兄が管理している大きな家畜施設の中にシャムスを繋がせてもらい、俺はムアッドの家で美味しいクスクスをいただき眠ることができた

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70 :名無しさん@おーぷん 20/07/31(金)08:47:42 ID:LKa

>>67
シャムスの口かわいいw





74 :1◆pFL7w2zodo 20/07/31(金)15:10:40 ID:576

>>70
動物ってほんまかわえぇよな





69 :1◆pFL7w2zodo 20/07/30(木)22:30:30 ID:i38

その次の日は、ドゥーズを出発以来最もゆっくりと休養できた日だった

シャムスのいる所でカモや七面鳥、仔馬と戯れながらのんびり過ごす

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明日は「夢の楽園」ジェルバ島へ向けて出発だ
大きく迂回して橋を通ろうと思っていたけど、より近い位置からフェリーで行けるかもしれないという情報を得たので、港へ向かうことにした
どうやら乗用車は1台2ディナール(80円くらい)で島まで輸送できるらしいので、ラクダもいけるかもしれない





75 :1◆pFL7w2zodo 20/07/31(金)15:52:53 ID:PFT

ガベスから南下し始めると、ナツメヤシや砂の道が増え、景色がガラリと変わった

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また、日中は汗をかくくらい暑くて北半球の2月とは思えないほどだった
今日も何度か「中国人…?コロナ…?」とか「やい中国人!」とか言われたものの、「日本人だ」というと皆納得し、それ以上言われることはなかった

途中の集落で立て続けにラクダ3頭を見かけたが、3匹とも肉屋の前に繋がれていた
肉屋の入り口付近にはラクダの頭や足が吊るしてあり、むしろ少し気が滅入った
とはいえガベス以南は明らかに家畜が多く、マハディアやスファックスとは違っていて、「漸く素晴らしい場所へ帰ってきた」感じがした

夕方、フエッドという名の家畜飼いの青年と出会い、シャムスを家畜小屋付近の安全な場所に繋がせてもらえることになった
俺はシャムスの隣に設置されたテントのような簡易的な小屋で寝て良いらしい

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一旦フエッドの家へ行ってお茶などを頂いている内にフエッドと仲良くなったので、結局今夜はフエッドとそのお父さんもそのテント的な小屋で寝ることになった

家からロバ車に乗って皆でシャムスの所へ行き、フエッドや父親と小屋で川の字になって就寝





78 :1◆pFL7w2zodo 20/07/31(金)16:04:36 ID:PFT

さぁ、いよいよジェルバ島へ
北アフリカ最大の島にして、ヨーロッパ人たちにも人気のビーチリゾートだ

港までは45kmあるので、シャムスの負担が軽くなるよう今日はできるだけ歩くことにした

だだっ広い平野が続いていて強い風が絶え間なく吹き続けている

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小規模なラクダの群れに遭遇したりしつつ、港に到着

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連絡をくれていたジェルバ島のファリッドが港まで来てくれていたので軽く挨拶をする
ファリッドは口数は少ないものの朗らかで、一日に何十キロも歩きトレッキングをしたこともあるというアクティブな青年だった

シャムスと一緒に船へ乗り込もうとすると、シャムスがこれまでにないほど嫌がり、絶対に乗ろうとしなかった
仕方がないので一旦乗船を見送り、次の便でシャムスに上着を被せ目隠しをしてからゆっくりと誘導し、出港
船上ではシャムスが不安にならないよう撫で続けた

そして、ジェルバ島に到着!
少し休んでから暗い中ファリッドと一緒に彼の家へ
15kmほど離れていたけど、ファリッドは歩く速度がかなり早く体力もあったので2時間半ほどで着くことができた

【リアルRPG 砂漠編37】ついにラクダのたくさんいる地域に突入! リゾート島を目指してラクダと航海!
https://youtu.be/YercHuxOiU4





79 :1◆pFL7w2zodo 20/07/31(金)17:53:53 ID:PFT

ジェルバ島では、到着直後に5社から取材やラジオ生出演の依頼が来たりしつつも、比較的のんびりと過ごせた

アトリエなどがたくさんあるアーティスティックなフームスークをみたり、動物が沢山いるという農場に行ったりした

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どうやらファリッドはフランス人の友達が多いようで、ジェルバ島に滞在中のフランス人4人と合流してお茶したりもした

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夕方、ファリッドの彼女のフランス人女性がやって来たタイミングに合わせて、ファリッドの妹も含めて4人で農場へ
シャムスのライド体験などしつつ、可能な限り自給自足を心掛けているという農場で卵やヤギのミルクをいただいた





80 :1◆pFL7w2zodo 20/07/31(金)17:59:20 ID:PFT

早朝、ファリッドは彼女とタタウィンヘの泊まりがけ登山旅行へ出発したので、俺も世話になったファリッドの家を出発する

ジェルバ島を出ようか迷ったものの、もう少し見て回りたかったし、Djerba sarayというホテルから招待が来ていたので一泊だけ世話になることにした
これまで泊まったホテルとは格が違っていて、大きな鏡があり冷蔵庫や空調までついているという素晴らしい部屋だった

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86 :1◆pFL7w2zodo 20/07/31(金)18:25:24 ID:PFT

その後は、ジェルバエクスプローラパークという所へ行ってワニをみたりレストランでパスタを食べたりしつつ貯まっていた作業を消化して就寝

写真はジェルバエクスプローラパークのワニたち
同種のワニが400頭ぐらいおるらしい

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招待してくださったホテルスタッフから、クサールギレンという砂漠のオアシス集落について聞いたので、次の目的地タタウィンの後に行けないか検討することにした
昔エジプトへ行った時はオアシスをめぐろうと思っていたし、チュニジアのオアシス集落がどんな感じなのかも気になる

そして翌日、ジェルバ島からアフリカ大陸へ
島の南側から6kmほどの道がのびていて大陸へ繋がっている

道幅もそれなりにあったおかげでシャムスは怖がらず、なんの問題も無く大陸へ戻ることができた

残るは南部のサハラ砂漠!
特に南西部には南からドゥーズにかけて大砂丘が広がっているみたいだ

さぁ、メディアへの出演はそろそろ終わりにして、ひっそり大冒険を始めよう!!

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つづく





87 :1◆pFL7w2zodo 20/07/31(金)18:31:35 ID:PFT

砂漠の話は次で終わりや
次はちょっとだけ昔の話でもしよかな

読んでくれた人、ありがとうな

もし良かったらチャンネル登録してくれるとありがたい
よろしく頼むで
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ここになんか書き込んでくれたら、おったら返事するわ

ほな…






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